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HP対談企画

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対 談 前 編

三 木: 本日は山田先生との対談企画、とても楽しみにしていました。よろしくお願いいたします。
山田氏: こちらこそ、よろしくお願いいたします。
三 木: 実際に研究でお使いになっているツール類もたくさんお持ちいただきありがとうございます。
やはりこういったツール類を使うと、自分の肌色が思っていた色と違うのが実感できますよね。


“自分の肌色を正しく選べるかというと…”
山田氏: そうですね。特に肌の色を検証するには、色票のバリエーションの刻みが細かい方が有難いかもしれません。飽くまで私の研究上の好みですが(笑)。この色票の場合は、1本1本スティックとして取り出せます。肌に合わせて確認できるのがいいですね。

三 木: 私たちは、特にパーソナルカラーを学習していない一般の方に伝える機会が多いので、大きい面積だとわかりやすいんですよ。まず、肌色に遠い色みや明るさから外していって、最後に2~3枚一番色みが近いカードを残して、おおよそこの辺の色みの傾向であることを伝えます。
山田氏: そんな手順なんですね。実は私、まだ診断してもらったことがないんです。
三 木: そうなんですか。それでは今度是非!
このようなカラーカードも、目的によって使い分けています。確かにこれは細かい数値を測るのにいいですね。
山田先生は学生を対象に肌の色について調べていらっしゃいますが、具体的にはどのようになさっているんですか?
山田氏: 私の関心の一つは主観と客観の違いなので、まず、自分の肌色だと思う色をこれらの色票の中から選んでもらっています。その後、私が色票をあてて測色するんです。その比較から、主観と客観のずれを探っています。
三 木: 色の仕事に携わっている人たちが自分の肌色を正しく選べるかというと、微妙なところでもありますよね。
山田氏: 色に関わる人であれ、記憶色と実際の色にずれがあるのはごく当然のことだと思います。でも、色に関わる方々を対象に調べてみると、また新たな発見もありそうですね。
同じ顔でも肌の色の明るさが変わると判断される性別が変わる
三 木: 年齢を重ねると「くすんでいるから」とか「こんなきれいなはずないわ」とか、そういう思い込みが入ってきてしまうかも。正しい肌色を認識できるかという観点は面白いですよね。
山田氏: ここ(色票)から自分の肌の色を選ぶということ自体、すごく難しいことだと思います。その難しい中でも一定の傾向が出てくるところに面白さを感じてもいます。学会などで女子学生の結果を発表しますと、「若い頃はみんなきれいだからいいけど、年齢を重ねるとどうなのか…そっちの方が知りたい」といったコメントをしばしば頂きます。皆さん、加齢による変化の方にご関心をお持ちのようです。
三 木: パーソナルカラーでもそういいますね。確かに、若いとある程度色をはね返す力があります。肌の質感によって、色に勝てるぐらいの強さがある場合もあるので。
それから、山田先生がA・F・Tジャーナルで発表された『肌と色彩の心理学』で面白かったのが「顔色を変えると性別がわからなくなる」ということです。
山田氏: ああ、同じ顔でも肌の色の明るさが変わると判断される性別が変わる、という。
三 木: そう、それです。年齢を重ねると、さらに性別がわからなくなる(笑)。そういう傾向があるから、40~50代の顔でやると、もっと顕著に出ちゃうんでしょうね。こんな若い子でもこんなに違いが出るんだから、年齢を重ねた場合はもっとだろうと…。女性は年齢を重ねたらある程度、肌の色を意識しなくちゃ、と考えちゃいました。
山田氏: 若い人の顔の場合には、より色白の顔が女性、より色黒なら男性、という方向性が見られていますが、年齢を重ねた人の実際の顔は、よりジェンダーレスな感じになっていくようにも思います。肌についても、形態的にも。そう考えると、若い方は典型例が当てはまりやすいので、明確なのかもしれません。

三 木: 確かに若い女性だと典型例が当てはまりやすいので、分かりやすいですよね。
山田氏: 女子大生の調査では、必ずといっていいほど色白志向が見えてきます。
三 木: 色白になりたい、という?
山田氏: はい、そうです。それは若くて色白で美肌と言われるような人たちが数々のメディアに出てきて、「女の人はそういうものだ」と思わされている所があるからなのかもしれません。それに比べて、年齢を重ねた人の典型例のパターンはそんなに固まっていない気がします。
三 木: それはメディアの影響が大きいのか、小さい頃から「女の子は日に焼けちゃダメよ」などと植え付けられていることが大きいのか…? 山田先生は、メディアの力が大きいとお考えですか?
山田氏: そうですね、特に視覚に訴えるメディアの力は無視できないと思います。
三 木: だから流行り廃りが影響してくるのかな。
山田氏: 最近は完全に色白に戻ってきているようですが。色黒が流行る時は、メディアの力が一気にかかって、それが広がることで色黒肌を目にする機会も増えますよね。そうして理想像が共有されることで、そこに乗っていくということがあると思います。
三 木: 日焼けとかもファッションと同じく流行色って出てくるんですかね?
山田氏: 肌色の流行色ですか。ファッションのように、毎年シーズン前に流行色が発表されるなら、それも面白そうですね(笑)。
とは言っても、ファッションと違って、肌の色は肌としてのレンジを越える訳にもいきませんから、白か黒かに振れるぐらいしか考えられませんが…。色みの面から微妙な揺れを見ることもできるかもしれませんけど。
三 木: 最近、黄みに寄っているっていいますよね。
山田氏: はい、資生堂の先生方のご研究では、1990年代の10年間で女性の肌色が黄色・色白の方向にシフトしたとされています。でも、2000年代以降はまた少し違うようで、逆に赤みが増してきているんだそうです。6月の色彩学会の全国大会で、同じく資生堂の先生からご発表がありました。
三 木: それは、何が影響しているんですか? 対象年齢はいくつですか?
山田氏: 年齢は20代から60代まで幅が広いのですが、それは前の1990年代の比較研究も同様です。1990年代の変化については、日焼け止めが普及して、日焼けが避けられるようになった事実もあるので理解しやすいのですが、赤み増加の方は説明が難しいですね。低彩度化も併せて起こっているようですから、日焼けによる炎症などではないわけです。ご発表の際には、ヘモグロビンの増加についても言及されていましたが、今後のご報告を待ちたいところです。
“赤みよりを目指している人が多いんですよね”
三 木: なるほど。私たちは授業で18、19歳の学生たちと何年も会う機会があるのですが、最近の学生たちを見ていると、そういう傾向の学生が多いですね。その原因がわかると面白いですけどね。
山田氏: 食生活なのか、生活習慣なのか…。スキンケアの影響もあるのかもしれませんね。
三 木: この仕事をし始めて、本来の肌色と違っている人が結構いるんですよね。色んなトラブルもあると思うのですが。正しいスキンケアによって違ってくることもあるんでしょうね。
山田氏: 色票を使った調査では、現実より黄み寄りの色を自分の肌色として予想する場合が多いという傾向が得られていますが、その一方で、自分自身の理想を「やや赤み寄り」「非常に黄み寄り」などの言葉から選ばせると、赤み寄りを選ぶ場合が多いことも分かってきました。これも、女子学生に対する調査結果ですが。
三 木: それはイメージワードで出てきたんですか?
山田氏: はい、選択肢を用意しての結果ですが。明るさに比べるとまだまだ不明瞭ですが、方向性としては黄みよりも赤みの方が好まれているようです。若い女子の間では、黄みを避けたい意識が強いのかもしれません。
“「こうじゃない、ああなりたい」という願望”
“みんながそこに向かっていく”
三 木: それは心理的に何か影響があるんですか?
山田氏: 自分の肌の予想が黄みに寄るのも、理想として赤みを求めるのも、黄みに対するコンプレックスを表しているのかもしれません。
三 木: ジェンダーに関わるところもあって、みんな赤みを目指してるということではないですか?
山田氏: 実際の20代の男女の平均的な肌の色を比べてみると、男性の方が赤みなんです。女性が赤みを求めるという事は、より異性の要素を求めることになりますから、少なくとも、実際の肌の色の性差を踏まえてのことではなさそうです。
三 木: 肌の色に対する意識そのものが変わってきているってことなんですね。
山田氏: 例えば、雑誌などの印刷物の場合、あまり黄み寄りに再現させないようですよね。それを見て「こうじゃない、ああなりたい」という願望が出てくるんだと思います。
三 木: 今、プリクラ系、スマホもそうですけど、自分の顔をどんどん変えちゃいますよね。なりたい自分になって、そしてそれが刷り込まれて記憶されてしまう。ある意味、すごい時代になりましたよね。
山田氏: ええ、それがほぼ現実のように思えてくるのかもしれません。かつてよりも画像に触れる機会が圧倒的に増えてきていますし。
三 木: 色白というより補正した自分の写真が基本になっていて、その方が社会的に認知もされやすいから。就職の写真も必ず調整が入りますよね。それだけ顔色によって受けが違うから、自分の顔はこうありたいと思う機会が多いかも。
山田氏: 修正した画像を見比べて、「こっちの方がきれいに見える」という経験があると、「私はこうなりたい」と思うのかもしれませんね。求めている肌の色からすると、白人系やハーフのモデルさんの影響もありそうです。
三 木: モデルさんの位置づけが社会的にすごく大きくなって、触れる機会も増えていますし、みんながそこに向かっていく。ダーウィンの進化論じゃないけど、赤み系になりたいと思っているとその方向に色素も変わるんですかね(笑)。

山田氏: 肌色の進化論ですか(笑)。長い時間をかけて選択され続けることで、一定の方向に変化が進むことはあるのかもしれませんね。社会的なジェンダーという意味では、以前よりも男女の差がなくなってきたり、男女のあり方が変わったりしてきています。単純に、肌の色と見るよりは、質感の結果としての色という捉え方をした方が時代にマッチしているかもしれません。
“肌の印象は質感によって大きく左右されますよね”
三 木: 先生は、日本顔学会(JFACE)でも活動されていらっしゃるので、いろんな立場の方のお話を聞きながら、肌色のあり方や肌色に求められていることについて研究されていると思いますが、やっぱり質感なんですね。今はハリ感やツヤ感なんでしょうね。
山田氏: 同じ明るさに見えても、肌の印象は質感によって大きく左右されますよね。透明感があると、より明るく健康的に見えて、美しさにも繋がります。逆にキメが粗いと、細かな凹凸によって肌が若干暗い印象にもなりますよね。質感の結果としての色、という面もあるように思います。
三 木: そうですね、色は単体ではないので、質感はとても大事ですよね。
山田氏: 同じ色黒でも、部活でがんばっている若い子たちの色黒は健康的で魅力的に映ります。これまでの話題からですと、女性は色白でなければならないのだと思われてしまうかもしれませんが、色黒だから好まれない、という単純なことではないんです。
三 木: やはり質感ですよね。
山田氏: 色だけでは捉え切れない部分があると思います。
“ここからの10年でも劇的に変わる気がします”
三 木: 山田先生が書いたA・F・Tジャーナルの記事に「自分のジェンダー観を顔の色について考えることによって測ることが出来る」とありますが、今の若い子でも、意外にちゃんとジェンダー観が出てしまうところが、すごいと思いました。
山田氏: 細かく読んでくださってありがとうございます。やはり女子学生から得られた傾向ですが、肌の捉え方にも価値観が反映されているところはあるようです。でも、ここからの10年でその価値観も劇的に変わる気がします。例えば、男性に対して色白を求めるようになってきたり…。
三 木: これから10年で変わってくるんですね。
山田氏: 美術大学でお話しする機会を頂いた際に、「変わるかもしれない」と5年程前から勝手な予言を披露していたんです(笑)。それが的中といいますか、実際にも変わってきていて。特に、男性に対する理想が、です。
価値観の変化は、継続的に追っていかないとなかなか気づかないことですから、形にならなくても調査は続けていくべきかと思っています。
“自己確立のお手伝いができるのがパーソナルカラーなんですよね”
三 木: 世の中の価値観を肌とか色から見るというのは面白いですね。パーソナルカラーを行う時も、顔は社会性のあるもので、価値観の違いをそこで見ていくことは、ものすごく面白いことだと思います。自分の顔は人に見られるもの、見せるもので、肌色もそういう意味合いが強いですしね。
山田氏: 自分に属するものであっても、自分のためのものとしては扱い切れないところがありますね。自分のことは主観でしか言えませんので、どのように見えているかを周囲から指摘してもらうことはとても意義のあることだと思います。
三 木: 私たちパーソナルカラーをやっている人たちは、肌の色、髪の毛の色、目の色を重視していますが、ヘアカラーとか目の色とか今は簡単に変えられるので、そんな中で肌色のあるべき姿にみんなが向かっているのは、面白い話だと思いますね。自己確立という時に自分の肌色を認識することが、どれだけ自分の自己確立に影響を及ぼすかという点も、カラーリストとしては大切にしたい部分です。
山田氏: それこそがキーポイントでしょうか。
三 木: はい。「自分を持っている」ということはいろいろな意味合いがありますが、その「自分」を知る一つのきっかけとして、切り口が肌の色、目の色、髪の色など、もって生まれたもので、それが客観的に自分を見るきっかけになればいいなと。そんな自己確立のお手伝いができるのがパーソナルカラーなんですよね。
山田氏: 三木先生が冒頭におっしゃっていた、肌色の診断方法もそうしたお考えに繋がりそうですね。1枚に限定して結果を押し付けるのではなくて、一番遠い色みのものから徐々に外していくというのが大切ですね。
三 木: 自分のことは客観視できないので、1つずつ外していった方が、覚悟や諦めもつくんです。
山田氏: 私の勝手な感想ですが、ここまで先生のお話をお聞きしていて、「自己肯定」が核の一つだと感じました。「あなたの肌の色はこれ」と出された結果に拒絶感を持たれてしまったら、自己確立からは逆に遠のいてしまいますものね。
複数を残して、その肌の色をいかに良く見せるかというところを出発点とするのは素晴らしいことだと思います。
◆◆◆ 後編はこちら ◆◆◆

日本色彩学会 平成28年度研究会大会(於:大阪電気通信大学)で、
山田先生の招待講演が開催されます!


11月26日(土) 10:30~12:00 招待講演「肌と色彩の心理学」

<J-colorもワークショップに参加します>
「言葉と色を使ったイメージ表現 ~パステルアートで描く4シーズンのイメージ~」
11月26日(土) [1] 15:30~17:00
11月27日(日) [2] 10:30~12:00 [3] 13:30~15:00

※J-color会員の方には、賛助会員としての優待があります。詳細はこちら

研究会大会の詳細はこちら


埼玉女子短期大学 
教 授  山田 雅子 氏

埼玉女子短期大学国際コミュニケーション学科教授、博士(人間科学)。2005年、早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。日本色彩学会理事。他、日本心理学会、日本社会心理学会、日本顔学会に所属。専門は色彩心理。顔や肌の認知が主な研究対象。


 


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