一般社団法人 日本カラーコーディネーター協会[J-color]

一般社団法人日本カラーコーディネーター協会

 
 

対談企画Vol.12:Creative 1株式会社 代表取締役社長 山﨑史郎氏・マーケティングディレクター 波津美里氏<前編>

2020.2.28

対 談 前 編

“「D-AI」はAIとヒューマンのマッチングサービス”

三木:
去年から、Creative 1さんが立ち上げられたサービスで、色についてお手伝いさせていただくことをきっかけに、今回このような機会をいただきましてありがとうございます。
山﨑氏・
波津氏:
こちらこそありがとうございます。
三木:
今回は、まず、Creative 1様のなさっていることと、コラムでご一緒している婚活サイトの件について、いろいろとお話を聞かせていただきたいと思います。
また皆さまのほうで、色について感じていらっしゃることとか、期待されていらっしゃること、
動き出した今だからこそ、お話しできることもいろいろあると思うので宜しくお願いします。
山﨑氏:
私共のCreative 1という会社は、クリエイティブスタジオのワントゥーテンという会社と、あとはマーケティングプラットフォーム事業をCCCグループでやっている、CCCマーケティングという会社の合弁会社になっています。
これ、なぜ合弁という形で別会社にしたのかというところの背景を申しますと、一つは、クリエイティビティを高めたいというところ。それはユーザーさんが実際にサービスを利用されるときに、デザインとかUIというのは非常に重要だというのを常々感じていまして。ワントゥーテンさんは、世界的に著名なアワードを受賞されている会社で、弊社ともお付き合いがありましたので、お願いしました。
もう一点は、別会社にすることで、意思決定のスピードを速める。
ウェブのサービスですので、どんどん改良して新しいことにチャレンジしていきたいということで、別会社にしています。メインの事業としては、マッチングサービスになるのですが、なぜマッチングサービスをやるかと申しますと、今、晩婚化というか、生涯未婚率が非常に高くなっていていますよね。かつ、その影響で、少子高齢化が進んでいるという社会課題を解決したいという思いがあったためです。
あとは、Tポイントのデータを活用して、新しい価値を創造していくということで、マッチングサービスというものを事業化しようということに決まりまして。
昨年の2月に会社を立ち上げて、10月15日にサービスインさせていただきました。

三木:
そのマッチングサービスが「D–AI」なんですよね。
山﨑氏:
このマッチングサービスの特徴としては三つありまして。
一つはTカードのライフスタイルデータを活用して相性が予測できる。それから、顔写真なしでマッチングをできるということで。ペア認証後に顔写真と連絡先を交換するという、内面重視のサービスになっているということ。もう一つは、登録とお試し利用。通常、男性と女性でメッセージとかチャットをする部分でお金がかかるのが、通常のサービスなんですが、弊社の場合は、そこを無料で提供しているというこの3点になります。
三木:
「D-AI」という今回のマッチングサービスのサイトは、そういう新しい形、ライフスタイルデータからマッチング度を測ることを目指して、立ち上げたんですか。
山﨑氏:
当然、データというアセットがあるので、それを使うことが既存のサービスとの差別化になる。既にマッチングサービスとかマッチングアプリは割と普及している中で、レッドオーシャンまではいかないですけど、その中にマーケットインしていくときの差別化ポイントとして、うちのライフスタイルデータを活用するというのは前提としてありました。
その中で、既存のマッチングサービスとかマッチングアプリの課題として、容姿、顔写真とか、年収とかのスペックが非常に重要で、そういうスペックが高い人にばっかり人気が偏りがちで。
実際に出会いにつながってない方が8割ぐらいいらっしゃるっていうところが課題としてありまして。
そこに向けて、我々は、そういうマッチングサービスで出会えない、新しい出会いを創出することで、ライフスタイルデータを活用した相性予測をやるということに決めました。

“好きな色が同じ=相性がいい? 複雑な相性予測”

三木:
ライフスタイルデータの中で、何がマッチングとしてヒットするかというのがすごく面白いと思います。以前おっしゃっていたように、全く同じ嗜好だから合うわけではないというところですよね。
山﨑氏・
波津氏:
そうですね。
三木:
そこのノウハウがいろいろおありだとは思うんですけれど。
全く同じだからいいわけではないし、全く違うともちろん出会えないし。
その辺のさじ加減みたいなところが、色の相性度というか、色のマッチング度というのと同じなんです。人間の相性度と色の相性度のさじ加減みたいなのが、似ていて面白いなと思います。どちらにも関われるこのサービスでご一緒できてよかったなと思っています。
山﨑氏・
波津氏:
ありがとうございます。
三木:
あとは、人生の中で、いろんな満足度とかスタイルがあると思うんですけれど、御社がハッピーを提案していく中で、出会いを選んだこと。
その出会い「D−AI」のきっかけとして内面を重視したことが、とても面白いなと思っているんです。色も人の内面にとても関わるので。
山﨑氏:
そこもR&D的に進めている部分がありまして。
もともとは3年前ぐらいにご夫婦の方に円満度のアンケートを取って。
三木:
円満度。怖いですね。
山﨑氏:
はい。そのアンケート回答と、弊社のTカードのライフスタイルデータから予測した300項目ぐらいの志向性の組み合わせに、傾向値がないかを分析したところ、ある一定の傾向値が出たんですね。
三木:
傾向値ですか・・・
山﨑氏:
はい。そこがまずきっかけになっていまして。
ただ、そのときは、それを相性予測の精度として見たときに、50パーセントちょっとしか、実は出せなくて。
少し傾向はあるよねっていうぐらいだったんですけど。
それがディープラーニングとかAIの技術が発展して、機械学習することによって、このご夫婦の場合はこの組み合わせ、このご夫婦の場合はこの組み合わせっていう形で、数万組の学習をさせることで、そこの精度が81パーセントまで上がったんです。
これはぜひ、世の中にサービスとして出すべきだということで決まったんです。
ちなみに、そのAIマッチングの仕組みに関しては特許を出願していまして。
一応、特許を取れるということなので。
三木:
それは円満度ということなんですか。
山﨑氏:
Tカードのデータを基にした、「相性予測」という技術ですね。
三木:
相性予測は、複雑なんですよね。それなのに今まで多くの場合は、同じ趣味とか、同じ食べ物が好きとか、同じ色が好きとか。そういう共通項があると相性がいいかもしれないと自分でバイアスかけちゃっていますよね、まさに。
山﨑氏:
そうですよね。
三木:
自分の生活のスタイルを、Tカードを使う中でいろいろ蓄積していく。
そしてそれをAIの色々な観点で、相性予測をしてもらう。だからといって、全部AI任せでなくて、相性予測を見て自分でどうするか考えてスタートするんですね。
山﨑氏:
そうですね。チャットを始めるというのが、ものすごく、うまくAIとヒューマンな部分と両方をバランスよくやっているなっていうのがあるんですよね。 誰と話をしたらいいのかっていうのを、ちょっと提案してもらえると、確かに、同じように山登り好きだから話が、その部分は合うかもしれないけど。
三木:
そうですね。
でも実際、生活していくとか、趣味が同じだから好きな食べ物が一緒だからカップルとしていいかどうかはちょっと分からないっていうのが、すごく面白いなと思いました。
そういう中で、色のコラムを入れてくださることになったわけですけれど。
山﨑氏:
もともとは、僕自身、日々、洋服を選んだり、色を選ぶってことに関して、無意識的にやっていたんですけど。いろいろお話を聞いていく中で、人の感情だったり、コミュニケーションにも影響を与えるみたいなことをお聞きして。まさに初対面での印象の与え方とか、そういったところに、色ってすごく寄与するんだろうなっていうのを考えまして。
それで、ぜひっていう形でお願いしようってなりました。

“お互いをより良く知る 色でそのきっかけづくり”

三木:
今おっしゃったように、色にはコミュニケーションツールというか、社会性という面があります。
装う色は誰かに見られるものですし、自分で発信するものなので。そういうところに、相手との関係の中で、どういうふうに自分を相手とを向かい合わせるかという、相手を思いやる気持ちみたいなものをもてるかなっていうのがあって。その部分が、この「D-AI」の出会いの場で使っていただけることがあるといいなとは思っていたんですね。
顔写真なしで、本当に内面から入っていって、お互いチャットで話をしてく中で。会ってみようかなって思う。そこで、初めて会うというコミュニケーションをどう作るかっていうときに、色が応援できるツールになるといいのかなと思いました。
波津氏:
結局、自分の魅力みたいなものって、自分ではあまりよく分からなくて。
こういう色が好きだったり、こういう色を身に付けていると、こういうふうに相手は捉えるかもしれないみたいな、そういういろんな記事とかも提供してくださっていて。それを読んでいくと、確かになって思ったり。それが自分を引き出すためのヒントになるんだろうなってすごく思うので。
最初のプロフィールの写真の、背景の色の使い方とか、そういうのもすごく参考になるなと。
実際にそれをユーザーの方に参考にしていただいて、それを実際アクションとして写真撮影のときに活用していただきたいと思っています。例えば、初めてのデートに出掛けるとき、行く前にコラムを読んで、じゃあ私はこういうふうに見られたいから、明日はこの色の服を着ていこうといったように、実際に、本当に使ってもらえるといいなとすごく思います。
三木:
そうですよね。他のコラムにも書いてありましたけれど、やっぱりすごくエネルギーがいるので。
人と出会うとか、初めての方と話をするのは。
波津氏:
そうですね。
三木:
そういう意味では、色でその後押しをする。ちょっと背中を押す。
色って、どの色もきれいなので。自分が選んだり、色に関した話を読むと元気が出るから、それでまず後押ししてエネルギーをプラスできる。
自分で色を選ぶことによって、本人が少し楽しくなったり、ちょっとわくわくしたりとか。自分自身を元気づけることもできると思うのでそういう意味でも、使っていただけると。
あと相手の方に対して、会うときの関係性を何とかつくろうとしているっていう思いやりが見せられると思うので。
私も今日は、お二人の装いは、多分、黒だろうなと思ったので黒にしました。
山﨑氏・
波津氏:
どうしてですか?
三木:
今までお会いしている感じでは、お二人は割と無地が多いから、お二人と共通の色を装うことで、ご一緒する場を楽しめたらいいなと考えました。
私も黒が好きですし。
今日の対談としての絵的には、ちょっと私は柄でいった方が変化がついていいかなとかも考えました。
こんな風に、誰かと会うということを考えることが面白いなとか、楽しいなと思える。
人の出会いも、色で応援できるのがすごく楽しいことだなと思ったんですね。

“色選びでその人を知る”

三木:
最初のコラムでは、まず写真を撮るときの背景でした。
こういう色の好みで価値感がわかるとか。
波津氏:
あれ、すごく面白かったです。
三木:
そうですか。ありがとうございます。
色の話題って、誰でも割と楽しんでもらえるんですよね。
波津氏:
そうですね。今は、まさに恋愛、婚活っていうものをターゲットにしているから、それを中心にお話を進めていますけれど。
この色の知識って、ビジネスシーンとか、普通に誰かに会うときにも使えるし、ものすごく参考になるので、これ全員に読んでもらいたいなって、すごく思いました。
三木:
色選びは、結構、自分自身を投影しています。
意外とその日の自分の気持ちとか、今好きなものとか、今日はこうしたいとかっていう自分を出せる、出しているんですよね。
それが自分を大事にするきっかけになる。
波津氏:
そうですね。
三木:
山﨑社長は、モダンアートとかを扱っていらっしゃるから、きっとお好きな傾向とかも結構はっきりされているんですよね。
それで洋服の色は、黒とかが中心なのかも・・・。
山﨑氏:
そうなんですよね。
結局、ジャケットが濃いめの色しか持ってないのを、何でかなって考えたんですけど。
もし、これから買うときは、考え方が変わるかもしれないです。今まで自分は割と日焼けしているんで、顔の色とか、スタイルとかに合う感じの。細ければもう少し白っぽいのもいいのかもしれないですけど。がっちり体形なんで、黒のほうがちょっとシャープに見えるかなとか。そういうので選んでいる感じなんです。どちらかというと。
三木:
いろいろ考えて。
山﨑氏:
ただ、いろいろお話していく中で、自分を元気付けるとか、相手に与える印象をうまくコミュニケーションのために調整していくっていう意味では、本当に色選びというのは、ハードルも低いし、かつ、すぐ実行して効果的にできるノウハウなんじゃないかなって思いますね。
われわれは、出会うきっかけまでしか提供できないので。その先、より良く、仲良くしていただくためには、そういった情報の発信が、ユーザーさんにとってもすごくいいものになるんじゃないかなと思っています。
三木:
ちなみにお洋服は、全部ご自分で選ばれるんですか。
山﨑氏:
そうですね。以前は妻と一緒に買い物して、妻に確認してもらったりはしていましたけど。
子どもがいると、そんなに一緒に洋服を選んだりみたいなことなかなかできないので。基本は自分で買っています。
三木:
そういう、自分を装う色を選ぶのが、円満度とかにもつながるのかなって。ちょっと聞きたいなと思っていました。
山﨑氏:
そうかもしれないですよね。妻も納得して買ってきているものは、当然、妻から見ても、よく見えるのかもしれないですけど。
なんか突然買ってきた、それどうなの?みたいな洋服を着られていると、あんまり円満度としては高く出ないかもしれないですからね。
三木:
関係性ができてくると、自分の夫は大体こういうのを買ってくるだろうなという安心感の中で見ていらっしゃるのかもしれないですね。
山﨑氏:
よく言われますよ。「新しいけど、それ、また同じようなのを買ったのね」みたいな。
ちょっとお金の無駄遣いじゃないのとまでは言わないですけど、そういう感じですよね。
自分の中ではちょっとアップデートされているんですけど。
同じ感じだけど素材が違うとか。冬用で袖が厚いとかそういうのとかもあったりとかするんで。

“色で新しい自分に出会う”

三木:
山﨑社長は、黒に顔が負けないですね。ひげと相まって、とても存在感があります。
でも、すごくお話がしやすそうとかいうのは、すごく演出されていらっしゃるんだろうなと思いながら。
黒って実は、なかなか難しい色なので。
山﨑氏:
そうなんですね。
三木:
そうなんですよ。その黒をうまくナチュラルに着こなしていらっしゃるから。
そのナチュラルさ加減がすごくすてきだなとは思っているんです。
そんな風に、多くの方に色で自分の演出をしてもらえるといいですね。
自分を見直すきっかけで、色を使っていただけるといいなとは思っています。
今まで触ったことがない色にトライしてみるとかいうきっかけがあると、新しい人との出会い「D–AI」の前に、まず新しい自分に出会うこともできるかも。
山﨑氏:
そうですね。特に女性とかだと分かりやすいですよね。普段、赤なんて着ているのを見たことなかった人が、突然、赤を着ていたりすると、かわいいと思ったり。なんか印象変わったなみたいな。結構女性同士だと、かわいいねとか言うじゃないですか。そうすると、多分、自分の心象的なものも、「いいんだ、私、この色着ても」となります。そういうのって結構あるような気がしていて。
人の性格とか、明るさを変化させるものだなって、すごく思いますよね。
三木:
人間はやっぱり、いろいろな多面性を持っているので。違う自分を引き出してみると、もしかしたら今までと違った出会い「D−AI」とか、違った価値観とかが生まれるかもしれないですね。
新しい自分に出会うきっかけが色だと、確かにおっしゃるようにハードルが低いんです。
誰でもわくわくと楽しめていただけますね。
◆◆◆ 後編はこちら ◆◆◆
Creative 1株式会社
まだ世の中にない0→1を創造する企画会社としてCCCマーケティング株式会社と株式会社ワントゥーテンの合弁で2019年1月に設立。
https://creative1.jp

山﨑 史郎 氏(ヤマサキ シロウ)
Creative 1株式会社 代表取締役社長
大学卒業後、Sierにてシステムエンジニアで3年、外資系広告代理店で営業企画とクリエイティブで13年、2014年にCCCに入社後プランニングや提携担当などを経て、現在Creative1(株)代表としてD-AI事業を推進中。
波津 美里 氏(ハヅ ミサト)
Creative 1株式会社 マーケティングディレクター
大学卒業後、アメリカへ3年間留学。2009年にカルチュア・コンビニエンス・クラブに新卒で入社し、TSUTAYA店舗やTポイント事業を経て、現在はTポイントが貯まるアフィリエイトモールの営業とD-AIのマーケティングを兼務。