対談企画Vol.10:一般社団法人 テーブルウエアスタイリスト連合会 代表理事 二本柳 志津香氏<後編>
2022.12.2
(前編はこちら)
“現場主義”
「テーブルウェアの世界と同じ様に、カラーの世界も時代によって変わってきていますよ。」って、2つの世界が似ていると伺って「絶対やりたい」と思って。
おっしゃるように、色を学びにこられる方々も変化してきていますね。御協会で自分の生活のためにとか毎日を豊かにするためにという方々が集まると思ったら、実はもう仕事をしたい人たちがいっぱいいてとか、仕事関係の人が多く入ってきたというのは私たちも同じでした。
実は色彩学的なものって、いっとき、学ぶのがブームになったんです。
それで色彩学の基本のところを学ぶ人がとても多かったんです。
ただ自分たちが、やっぱり、いろんなカラーコーディネートの仕事をしていく中でその先に、学んだことを使って、じゃあ、建築でとか、ファッションの場合は?とか、プロダクトの場合は?というようにそれぞれで色を考えるときどうするのとかいうことまで掘り下げていかないと、あんまり意味ないよねって感じたんです。
配色も建築の配色とファッションの配色は違うんですよね。
素材とか使う色の面積とかも関係して。
時代が変わっていくと、やはり、伝える内容の見せ方とか順番を変えていかないとっていうのはどこの世界もそうなのかなと思いました。
何を気に入ってもらってそんなに次々くださるのかがよく分からなかったんですけど、その担当者さんが言うには、今まで頼んでいたところはもう業務的にCGの 世界で施工みたいな感じで提出してくると。私は、そういうのもできないですし、私が提出しているのは、本当、デザインラフ画っていう水彩絵の具を使ったものなんです。彼女たちは、絵と色を見て、水彩絵の具の色を見て、二本柳さんは洋風にしてもらえるからって感じで。「もうこのラフ画がすべてです。」っておっしゃったんですよね。で、この水彩絵の具に近いような色をいつも手づくりすることが多かったんですよね。
色をつくる
そしたら、もう、色もその一つだよねって。私を助けてくれるアイテムの、水彩絵の具の色の世界っていうのが助けてくれることだったんだって思ったんですよね。
御社の改訂版のテキストのビジュアルをつくる中で、結構ご担当者さんとのやりとりをさせてもらったんですね。
おっしゃっている意味は十分分かるんですよ。ただそういう色がないんです。
クロスの色が。それでもう、ああ、この色が出せたらニーズに応えられるのにとか、こういう色彩ができるんだったのになって思って、それで自分でつくろうと。
二本柳さんのデザインラフ画
5分ぐらいでラフ画を描いて、印刷をして、担当者さんに送るっていうのが私の仕事なんです。描いた色の通りに色をつくろうとするじゃないですか。
そうすると、微妙にこういう卵の色とかも出てこなくなって。
同じように今度からはクロスもニーズに応えられるようにしていかないとって。
取り組み方も今回関わらせていただいて、だいぶ変わりました、うちも。
描いた色の通りに塗るということが最近はできるようになりました。
個人宅も自分で色を変えたりとか結構やっていらっしゃる方もいますよね。
ペイントでいろんな可能性が広がりますよね。
撮影でいえば空間の背景の色とかも。
いつもバックペーパーを日本でリースするんですけど、限られていたんですよ、今までは。で、バックペーパーの海外みたいな、この微妙な洋書みたいなのがないのかなとか、いろんな問題がありまして。
色のちから
私がスクールで学んでいたとき、先生が指定した色を使うように指導されるんです。私がこのときに一番、年下だったんですが、先輩たちにはどう転んだってかなわない。だからちょっと面白い、若い人もハッと見てくれるような世界をつくりたいって考えたのが、この駄目だよっていう色の組み合わせを、あえてやってみるっていう世界だったんですよ。なので、本当に、色に、結構、助けられてる部分が。
ただ、今までは感覚の世界だったんですよね。それで今回お付き合いさせていただくようになってから、なぜ青なのかみたいなことを電話で聞いたり、比べてこちらの青なんだよとかっていうのを知る事ができました。これからはもっと色に関しても、生徒さんとかにも説明もさせていただけるし、ちょっと楽しい世界だったのかなと。
色の本はたまに読んでいたんですけど結構、気難しい本が多くって。さっき、うちのスタイリストとも言っていたんですけど、色を学んで職業にっていうのを今まで私、考えられなかったんです。けれどこのテキストは例えば、ネクタイとかファッション選びにとか、現実世界の本でした。
その方に合わせた色のご提案をできるような力をもってもらえるようにするのも私たちの役目なので。現実的な提案を意識しています。
またパーソナルカラーについてもサービス業の方は土日に受験するのが大変。
そういう現場を意識してネット受験のシステムも取り入れているんです。
やっぱり、現場主義なので。色がもっている力はいろいろな場で本当に可能性があるから、もっと現場の方たちに使ってもらいたいなって。
また家族の生活空間ということを考えると、もしかしたら、今後はもっとパーソナルなテーブルウェアスタイリングっていうのももしかしたらあるかもしれない。
今まで日本人で海外に赴任している方っていうのが、帰国したタイミングで受講してくれたんですけど、来月、初めて台湾のパーティスタイリストの方が受講を目的に見えるので、ちょっと海外の方にも日本の器の良さとか知っていただけたらいいなと考えています。
台湾って、ベビーが1歳になった誕生日会とかも100人規模でやるらしいんです。
結婚式もやたら大きいようです。
なので、活躍してもらえるのかなと考えています。
2級のときには、またお世話になりたいと思いますが。その際は宜しくお願いいたします。
本日はありがとうございました。
撮影でも使われるスタジオ
代表理事 二本柳 志津香(にほんやなぎ しずか)
一般社団法人 テーブルウェアスタイリスト連合会
ビジュアル・マーチャンダイジングの専門家として、PR効果を考えた空間デザイン、装飾を行なう商品装飾展示技能士(国家資格2級)の顔も持つ。
2014年、日本初の食器の資格制度「テーブルウェアスタイリスト®」を設定、講座運営の(社)TWSAから企業装飾や雑誌、広告等の分野で活躍する人材を多数輩出中。
<実績>
「ブライダル産業フェア」ブライダルテーブルコーディネートコンテスト2016 大賞
「ゼクシィ相談カウンター」銀座店、他4店舗デザイン・装飾
朝日新聞「食卓を彩るこだわりの器」取材協力 他多数。